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 1分に100時間分の動画がアップロードされ、月に10億人のユーザーがアクセスするというYouTube。この膨大な量の動画データのなかに、商業映画やテレビ番組などのコンテンツを違法にアップロードしたものがある。

 YouTubeはこのような著作権侵害を防ぐため、「Content ID」という、あらかじめ権利が保有された動画を記録し、それら映像と音声にIDを割り振ることで新たにアップロードされる動画から逐一IDを参照し、著作権侵害の有無を自動的に判断するシステムを実装している。

 しかしながら、依然として違法動画が駆逐されていないことからわかるように、巷にはこのシステムの検閲をかいくぐるための技術が広く出回っている。その技術の一つに、アップロードしたい映像を縮小し、その小さくなった映像の周りに無意味なパターンや映像を配置するという、映像をいわば入れ子状に配置するものがある。鑑賞者はその映像を観るにあたって、周囲の映像は無意味なものとして、そこに注意を払うことなく鑑賞するよう促される。これにおいて、Content IDというシステムから眼を逃れるためのカモフラージュとして、意味の漂白されたイメージが使用され、一つの映像に同居している。限りなく無意味かつ無関係と人々に認識されるイメージが、小さな映像を取り囲んでいるのだ。

 とはいえ、はたしてその無意味とされる映像は、本当に無意味なものだろうか。このイメージは、Content IDの眼からはカモフラージュすることが出来ているかもしれないが、しかし私たちの眼からは全く逃れられていない。それはなにかむき出しの無防備さを露呈しながら、画面周囲に存在し続けているようにも感じられる。

「optical camouflage」は、そのようにして意味が置き去りにされるイメージや、無意味さの中で人の手を離れ複雑化していくイメージの有り様を、一つの芸術の契機として思考する態度から企画された。テクノロジーが繋ぎ目のない透明さとして環境と接続されつつある現在、人、物、事、またそれに関わるあらゆるイメージがシステムの内部でカモフラージュされるなか、この展覧会はその透明に不/可視化されたイメージの迷彩に自ら足を踏み外し、この像の空洞から、ある眺めのフィードバックを探る試みとなるだろう。


Artists

郷治 竜之介




「Musa ssp.」(2016, cueB gallery, ロンドン)
「ヴ・・・ン」(2016, 遊工房アートスペース, 東京)
チューリッヒ芸術大学/東京藝術大学 国際交流展「半解をただよう、半壊をあるく、半開のあいだ」(2015, 東京藝術大学, 東京)
「デジタル・ヒューマナイズ」(2015, 東京藝術大学, 東京)

山形 一生




「iphone mural」(2016, Block House, 東京)
「Hors Pistes Tokyo」(2016, SuperDeluxe, 東京)
「Seeing Things」(2016, tokyo arts gallery, 東京)
「ヴ・・・ン」(2016, 遊工房アートスペース, 東京)
「スタンダード・サプレッサー」(2015, Wondersite本郷, 東京)
「デジタル・ヒューマナイズ」(2015, 東京藝術大学, 東京)

http://issei.in/

Access

遊工房アートスペース
〒167-0041
東京都杉並区善福寺3-2-10
http://www.youkobo.co.jp/

2017 1/21 - 29
12:00 - 19:00
オープニングレセプション : 1月21日 18:00 -
クロージングパーティー : 1月29日 18:00 -